PROFILE
職種:デザイナー
入社:2015年8月
デザインができるまで
日々の業務としては、背景・キャラクター・画面表示物(アイコン類)等の分野でコンセプトアートやオブジェクトデザインを制作することが中心で、個人によって特化したり兼務したりしながら業務を行っています。デザイナーの仕事というと、絵を描くことをイメージすると思いますが、最も大事なのは「デザイン」する-ディレクターのコンセプトを解釈し、ゲーム性・世界観・役割などを踏まえながら深め、展開して、テーマとして入れ込みながら絵に表現する-ことだと考えています。私は転職でフロム・ソフトウェアに入社したのですが、今までのいくつかの職場と比べても、一人一人がデザインすることを重視した現場だと感じています。
どの分野でも、まずはディレクターや企画職の発するコンセプトやゲーム要件をもとに、初期段階のラフデザイン画を制作します。その後は、ラフだった要素をさらに揉んで、造形や質感を詰めていきます。またゲームグラフィックにするための3Dグラフィックアーティスト用の指定図や資料作成などもこの間に用意します。背景やキャラクターの分野では、初期デザインの段階はコンペ形式になっており、プロジェクトに関わるデザイナー全員にコンセプトが共有され、複数のデザイナーがデザイン画を制作します。それらのデザイン画をディレクターが吟味、デザイナーにフィードバックし、再デザインするという工程を繰り返していきます。このような過程で、複数のデザイナーのアイデアが取り込まれたり、またデザイナーの絵によってディレクターのイメージが刺激されて発展するなどしてコンセプトが昇華していき、より魅力をもったデザインに仕上がっていきます。
要望に応えつつ、ロマンを入れる
私は『Bloodborne』のアイコン制作から参加し、『DARK SOULS Ⅲ』や『DARK SOULS Ⅲ THE FIRE FADES EDITION』ではUI・アイコンおよび一部の武器やキャラクターデザインを、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』では、キャラクターデザインやUI・アイコンを担当しました。
アイテムやアイコンなどのデザインは、背景やキャラクターを比べると、ゲーム開発の後半の工程から仕事がスタートします。バリエーションを含むとはいえ数百の膨大な量のデザイン画が必要になりますし、それまでに描かれたキャラクターや背景などを俯瞰して見てテイストを汲み取りつつ、そこにまだない要素を出しながら描くので、難しさはありますが、デザインができる、描ける楽しさがあります。
キャラクターや武器などのデザインは、基本的な工程はアイコンと同じなのですが、幅も深さもより突き詰めてデザインを仕上げていく印象です。私がデザインをするときは、ディレクターの要望に応えるのは前提としながらも、「このキャラクターはこうあってほしい」という自分なりのロマンを入れ込みながら描くようにしています。もちろんそれだけになってしまうとディレクターの求めるものと違ってしまうのでそこは意識して加減をしますが、他のデザイナーの描くデザイン画も含めて、それらからディレクターがおもしろい発見ができるといいと思いながら取り組んでいます。
人と話すことが、より納得感のあるデザインにつながっていく
冒頭でもデザイナーの仕事は絵を描くだけではないとお話しましたが、自分の考えを誰かに言葉で伝えることや、人の話や意見を聞き、理解する力が思いのほか役に立ちます。人によって視点も違いますし、仕草や表情の表現が得意だとか、関節や骨格などの造詣が深いなど、得意分野をそれぞれが持っています。いろいろな意見が聞けるということは参考が増えるということなので、とてもプラスになります。
実際に自分も他のデザイナーに相談したり、デザイン仕事を近くで見ることで多くのことを学んでいます。たとえば『DARK SOULS Ⅲ THE FIRE FADES EDITION』では“教父アリアンデル”のデザイン制作に関わったのですが、初期ラフデザインを通した後に、ディレクターが求めるクオリティにまでなかなかもっていけずに長く右往左往しました。結局2度目のコンペをして皆で要素を出し合い、更に煮詰めてやっと完成しました。初期の悲しい哀れなイメージは引き継いでいますが、当初はなかった“椅子に座っている”というアイデアや鉢のような武器なども含めて、要素を盛り込みつつも、伝わりやすいシルエットになりました。完成までに20テイクほどやり取りがありましたが、その過程で他のデザイナーの要素の出し方やシルエット造形の仕方などがとても参考になり、それらが説得力・納得感のあるデザインにつながり、思い出深い仕事の一つになりました。
当社でのデザインの仕事に興味を持ってもらえるのであれば、デッサン力などの基礎力も大事ですが、デザインすること自体に強い意欲を持ち続けて欲しいと思います。それまでのデザイン画を凌駕する、いままでに見たことのないものを表現したいと思って自分たちは仕事をしているので、それに一緒に挑戦できる人に加わってもらえると嬉しいです。
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Bloodborne(発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント) ©2015 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by FromSoftware, Inc.
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