モーションデザイナーの仕事

職種紹介

モーションデザイナーの役割って?

ゲームに出てくるキャラクター(人物、クリーチャーなど)のモーションやリギングの制作、カットシーンとよばれるゲーム中の演出ムービーを制作します。

作中のキャラクターの「性格」「感情」「生き物らしさ」を表現し、世界に息づかせる仕事です。

どんな仕事なの?

アクションゲームの最も重要なインセンティブの1つ

ゲームのモーションでは、単に表面上の動き-筋肉や関節が動いて、体重移動ができている-だけではなく、そのキャラクターが「何のために、何をしようとしているのか」を掘り下げて作ることが重要です。

たとえば、敵キャラクターの行動は単に「攻撃をした」を記号的に動きで伝えればよいという訳ではありません。プレイヤーの気持ちが動かなければ、「体験」にならないからです。

また、騎士のように絶対強者としての振る舞いと、力は無いがしたたかに生き抜いた者の振る舞いでは、まったく違う動きになるでしょう。

「プレイヤーと敵が、生命を賭けて本気で戦っている」ことを動きで演出し、プレイヤーにとって手に汗握る体験となってはじめて「もう一度あの敵に挑みたい」というプレイヤーの欲求につながるのです。

プレイヤーキャラクターのアクションでも、1フレーム違うだけでその触り心地や駆け引きが変わってしまいます。モーションを作り、実際にゲーム画面で何度も触っては調整を繰り返していくことで、動かして気持ちのいいアクションになります。

このように、アクションゲームであれば「敵が攻撃してくる」「それに剣を振って応える」といった動きを、プレイヤーがその緊張感を体感できるように演出する。こうしたことを考えることが、モーションデザイナーとしての最も大切な仕事です。

自分のアクションにより相手のリアクションが変わっていく。この積み重ね・インタラクティブ性がゲームの魅力です。

アクションとリアクションを直接的に表現する「動き」(モーション)は、ゲームにおけるもっとも重要なインセンティブの1つだと考えています。

多くの人と関わりながら、1つのゲームを作り上げていく醍醐味

モーションデザイナーは、多くの人との関わりが不可欠です。

たとえば、以下のような職種とのやり取りが多く発生します。

  • キャラクターモデルやエフェクトを制作する3Dグラフィックアーティスト

  • SEをつけるサウンドデザイナー

  • モーションデータをつなぎ合わせて振るまいとして組み上げる企画職

「動き」は文章で伝わりにくいため、口頭による説明が多くなります。そのため、相手に理解してもらえる説明力や、相手の話を正しく理解する能力も、重要なスキルの1つといえます。

ゲームを体験として演出するために、アイデアを出し合い、動きとして具現化する。そこに音や効果を足して、最終的にプレイヤーが触れるものとして仕上げていく。こうした幅広い工程に携わることができるモーションデザイナーは、単にデータを作る以上に、ゲームを作っていく醍醐味を味わえる仕事です。

インタビュー

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PROFILE

職種:モーションデザイナー

入社:2015年4月

ゲームモーションの作り方

モーションをつける際、はじめにキャラクターミーティングを行なっています。これには、ディレクターや企画職、モーションデザイナーはもちろん、デザイナーやモデリングを担当した3Dグラフィックアーティスト、サウンドデザイナーなども参加します。たとえば企画職からは「ゲーム中にこういう動きがあるとかっこいい」「こう戦わせたい」など、ゲームに落とし込んだ時におもしろくするにはどういったモーションがほしいか、といった話が出ます。3Dグラフィックアーティストとは、キャラクターの形状や骨格、持っている武器などについて話し合います。さまざまの職種の観点から、そのキャラクターをゲームでどう生かすか、どういう動きをさせたいかなどのアイデアを出し合い、整理して、モーションリストを作成します。ほかにも、キャラクターデザイン時のディレクターからデザイナーへのフィードバックコメントなどもプロジェクト全体で共有されるので、それらからキャラクターを掴んでいって、モーションをつけていきます。

1キャラクターのモーション数は、キャラクターの役割によって幅がありますが、80~200モーションほどになります。200モーションというと驚くかもしれませんが、実はゲームモーションの一つ一つは2秒強で作っており、実際のゲームでは、そのモーションを企画職がAIを組んで、キャラクターの一連の動きとして表現しています。1体のキャラクターモーションが完成するまでの期間はおおよそ1~2カ月かかり、この期間はずっと同じキャラクターと向き合っています。

どうすれば「達人感」を出せる? 苦戦した“修道女フリーデ”

入社してから、『Bloodborne』や『DARK SOULS Ⅲ』などのタイトルで、カットシーンやゲーム中のモーション制作を担当してきました。

そのなかでも『DARK SOULS Ⅲ THE FIRE FADES EDITION』に出てくる“修道女フリーデ”という大鎌を持ったボスキャラクターのモーションをつけたときは、苦労しました。このキャラクターは「武器の達人」というコンセプトで、「武器の扱いに長けていて、強い」というイメージで作ったのですが、はじめはなかなか「達人感」をうまく出せなくて……。私はもともと物理原則ベースでモーションをつける癖があったので、人の歩幅で前に踏み出したり、鎌は重いものだからゆっくりスイングさせていたのですが、そうすると、ゲーム画面で見たときにぜんぜん怖く見えないんです。ゲームで動かしてみて、詰め寄ってくる感じがないから脅威に感じないことに気づき、わざと滑らしてみたりして動きを極端にし、プレイしたときにおもしろく感じるように修正していきました。ゲームモーションでは、アニメーションの一つ一つはそのキャラクターの個性に合っていたり、クオリティが高くても、ゲームで動かしてみるとそのキャラクターの戦闘スタイルには合わないとか、見ていて退屈といったことが多々あるということを実感しました。

逆にカットシーンでは、ゲームでは地味でNGになってしまうリアル寄りの動きをあえてつけて、個性を出してみたり、カメラ映りがいいように多少無理な動きをつけたりすることもあります。字コンテ(脚本のようなもの)を元に、カット割り・アニメーション・カメラワークをつけていくのですが、ゲームモーションとは違ったプロセスや自由度があります。学生時代に映像作品を作っていたのと、映画や映像をたくさん観ていた経験が役に立ちました。

成長を続けられるように

普段から意識していることは2つあります。一つは、制作中にできるだけ企画職やモーションリーダーなどにたくさんモーションを見てもらうことです。他の人の視点が入ることで、そのキャラクターに慣れてしまって感覚が麻痺することも防げます。特にディレクターにはいろいろ見てもらって、なんとかしてアドバイスを引き出そうとしています。

もう一つは慢心しないということです。というのも、新人研修が終わったときに、研修担当の先輩から「がんばっているし、成長もしているけれど、慢心するとそこで成長が止まってしまうので気をつけてね」と言われたのです。自分は褒められると嬉しくなって、そこで努力を怠ってしまう癖があるので、そういうところを見抜かれたと思いました。今でも仕事で褒められたり、ユーザーさんから『このモーションがかっこいい』という感想をもらえると素直に嬉しいですが、成長が止まってしまうのはもったいないので、内心では小躍りしつつ、自分を律するようにしています。

こう聞くと、厳しい印象を受けるかもしれません。自分自身も入社前は、ダークな世界観のゲームを作っていることもあり、社内も殺伐とした雰囲気を想像していました。実際入ってみるとけっこう雑談をしたりと気さくで、今でも同期とプライベートで遊びに行ったりしています。フロム・ソフトウェアでは、これをやりたいと希望するとやらせてもらえたり、「ゲームのモーションとカットシーンとどちらをやりたい?」と聞いてもらえたり、自分のやりたいことを重視して担当させてもらえることが多く、楽しんで仕事ができています。和気あいあいとしつつ切磋琢磨していける人は、一緒に楽しく仕事ができると思います。

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