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ゲームグラフィックデザイナー新人研修体験談

3DCG未経験で、ゲームグラフィックデザイナー(ゲーム中の3DCG制作)の職種で入社した新入社員が、どのような過程を経て成長していったのか、研修内容や体験談を交えてご紹介します。

  • 氏名:K.S

  • 所属:開発セクション(ゲームグラフィックデザイナー)


東京造形大学 造形学部  デザイン学科 グラフィックデザイン専攻を卒業。学生時代に、アルバイトでゲーム系のデザインを担当した経験もあったが、3DCGは未経験。空気感・空間の表現に興味を持ち、3DCGに興味を持つ。

  • 氏名:Y.S

  • 所属:開発セクション(ゲームグラフィックデザイナー)


東京藝術大学大学院 美術研究科 絵画専攻(日本画)を修了。3週間に1枚のペースで50号の日本画を制作するなど、アナログでの絵画制作に没頭する学生時代を過ごす。デジタルツール自体の経験も少なく、3DCGも未経験で入社。

  • 氏名:T.H

  • 所属:開発セクション(ゲームグラフィックデザイナー)


京都精華大学 芸術学部 造形学科 日本画コースを卒業。時間を作っては動物園へ行きスケッチを描くほど動物好き。それが高じて粘土で動物の造形を作ったことから3Dに興味を持つ。他2名同様、入社時点では3DCG未経験。

研修内容紹介

『慣れることが肝心!3DCGツールの基本操作を習得』

まずは、新人研修がどのような内容だったのか、簡単に新人研修の内容を紹介します。

  • 4月第1週

    目的

    • 3ds Max に触り、基本機能を理解する

    • 特に、業務で使用する機会の多いモデリングを優先的に習得する

    研修内容

    • チュートリアルに沿って、簡単な造形のモデリングおよび基本的なアニメーション制作(兜、建築物、飛行機などのモデリングやボールのアニメーションなど、基本的に1日1体のペースで制作)

    • ペンギン制作をテーマに、自分で考えながらモデリングを制作

  • 4月第2週

    目的

    • ツールの使い方の理解を深める

    • 自分が表現したいイメージを造形するためにどうツールを使えばよいのかを学ぶ

  • 4月第3週

    目的

    • ゲームを制作する上での規制やルールを踏まえたうえでのデータ制作方法を学ぶ

    研修内容

    • 過去に開発で使用した剣や盾などゲームに出てくる武器類のデータをみて、修正&ブラッシュアップする  (ハイポリゴンのモデリング、テクスチャの修正・制作)

  • 4月第4週・5月第1週

    目的

    • ゲーム用のデータの構造を大量に見ることで、ハイポリゴンのデータ制作のノウハウを学ぶ

    • 求められるクオリティラインを理解し、身につける

    研修内容

    • チュートリアルに沿って、簡単な造形のモデリングおよび基本的なアニメーション制作(兜、建築物、飛行機などのモデリングやボールのアニメーションなど、基本的に1日1体のペースで制作)

    • ペンギン制作をテーマに、自分で考えながらモデリングを制作

  • 5月第2週 以降

    目的

    • 業務レベルのデータ制作の経験を積む

    • 背景やキャラクタなど、本人の適性を生かした分野から実務経験を積んでいく

    研修内容

    • プロジェクトに所属し、実際のゲーム用データをモデリングからテクスチャまでトータルで行う

    • スカルプトツール(ZBrush)の習得

  • 6月末

    ツールについて習熟度が上がり、業務レベルのデータ制作への適性と、本人の特性が見えた時点で研修終了。

(上記は、3DCG未経験者向けの研修内容です。3DCGを制作できる新入社員には、別内容の研修を行っています)

新人研修体験談

『まだまだ、日々勉強です』

入社して6か月が経ちました。いまどういうことをやっているのでしょうか。

  • Y.S:

  • 開発中のプロジェクトに所属して、背景マップの3DCG制作を担当しています。

  • K.S:

  • 僕も同じです。

  • T.H:

  • 私は二人と同じプロジェクトで、キャラクタの3DCG制作を担当しています。

これまでを振り返って、いまどう感じていますか。

  • Y.S:

  • やっと3Dソフトの使い方には慣れてきて、こういう表現がしたい、と思ったことが少しずつかたちにできるようになってきました。いまはそうした感覚を何度も試してみて経験を積んでいる途中で、まだまだ日々勉強です。

  • T.H:

  • 3DCGには入社してから触れたので、はじめは単語もわからないし、研修用の本どおりに作っているはずなのにエラーだらけで本当に大変でした。いまは自分の作りたいものもわかってきて、すごく面白く感じています。

  • K.S:

  • 僕は大学4年の後期で少し3Dソフトを習っていたのですが、入社して本格的に使い始めたら、やっぱり難しくて。研修では、まずは自分で制作してみて、つまずいたら先輩に聞いて、という繰り返しだったのですが、先輩が質問にていねいに答えてくれるので、やりやすかったです。

研修中の失敗談とかありますか。

  • 3人

  • いろいろ...笑

  • T.H:

  • たとえば、3DCGは数値の設定をたくさんするのですが、設定を間違えて、大変なことになったり。研修中に背景モデルの勉強のために制作していた建築物作りでそれをやってしまい、建物の窓を作ろうとして大きさがおかしいことに気がついて...。先輩に修正方法を聞いたら、すぐに修正できたので良かったですが、とても焦りました。

  • K.S:

  • あとは、正面だけ見るときちんと形になっているのに、違う方向から見ると成り立っていない、とかよくやってしまいました。3DCGの場合は、修正をするなら初めから作り直した方が早いということも多いので、今はプロセスを考えてから計画的に作っていくことを意識しています。

研修で制作した“ペンギン”を振り返って

『形を作ることに精一杯になっていたことに気づいた』

こちらは、3人が研修2週間目に制作したペンギンの画像です。テクスチャは教則本のものをそのまま使用しているらしいですが、モデリングによってこんなに三者三様になるのですね。

  • ▲Y.Sさん作

  • ▲K.Sさん作

  • ▲T.Hさん作

  • Y.S:

  • そうですね。ペンギンでは、モデリングの作成については何とかあまりつまずかずにできたのですが、テクスチャを展開してマッピングすることは理解できていない点が多くて、何度も修正した記憶があります。

  • K.S:

  • 僕は、四角くしたつもりは無かったのに、先輩に「なんだか四角い」といわれ、ショックを受けた記憶が・・笑

  • T.H:

  • それまで制作していた建物や飛行機などと違って、生き物のモデリングだったので、全体がなめらかに見えるように気をつけながら制作しました。私は動物がとても好きなのと、なんとなくコツのようなものがつかめてきたときだったので、結構楽しく作っていました。

いま見ると、「ここをこう直したい」という部分はありますか。

  • Y.S:

  • 足の形状が複雑で、どのように作ればいいのかわからず、他の部分と比べるとあまり考えずに作ってしまったのが当時から気になっていたので、足を直したいです。

  • K.S:

  • 胸や手など綺麗な曲線になる部分は、輪郭を整えたいですね。腕の生え際が、メッシュが綺麗ではなくて自然に見えないので、その点も気になります。また、少し縦に長く、下半身が細い感じになってしまっているので、もう少し下半身に重心がくるようにして安定感を出したいです。

  • T.H:

  • いま見ると、フリッパー(ひれ、一般的な鳥の翼にあたる部分)がなんだか重そうでもったりしているのが気になります。もっと実際のペンギンのように薄くすっきりしたシルエットにできたのではと思います。このときは形を作ることに精一杯で、ものの形状に対する作りこみが疎かになっていたんだなと思います。

アナログからデジタルへ表現方法が変わっても、いきていること

『ものを見て分析する力は、デジタルでもとても大切』

学生時代のアナログでの作品作りから、3DCGというデジタルでの制作に変わっても、学生時代の経験はいきていると思いますか。

  • K.S:

  • たとえば、いま僕は3Dで背景制作をしているのですが、そこでも、シルエットや全体感、どこに何があるかといった画面の中の粗密のバランスがとても重要になります。それは絵画でも同じなので、そうした考え方はいかせていると思っています。

  • T.H:

  • 私も学生時代から意識していた「観察すること」がとても生きていると感じています。たとえば、いまキャラクタモデルを作っているのですが、先輩はどうしてあれだけ早く作れるのだろうと思って、先輩が作ったデータをじっくり観察して、作り方を分析してみたんです。そしたら、先輩はうまく切り分けてデータを制作しているということに気づいて、いまはそのやり方を取り入れてやってみています。

  • K.S:

  • 学校で、たくさんの人に作品を見てもらって人の意見を聞いてきた経験も、「多くの人がみて良いと思うものを作る」ということに基準につながっていて、大事だったんだなと感じています。

  • Y.S:

  • 絵画もそうですが、好きな音楽なども、見たり聞いたりするときに、「どうしてこれが好きなんだろう。どこが好きではないんだろう」ということを考えながら接していました。そこで考えたことを絵を描くときに反映させたりしていたのですが、そうしたことは、いまの3DCG制作にもいきています。また、学生時代にデッサンなどを通して、モノを見て考える力を養えたと思います。単にモノを見て把握するというだけでなく、そのものの“役割”などにも意識をめぐらせて描いていく力は、アナログでもデジタルでも、基礎になっているのではないでしょうか。

デジタル未経験者でも、こういう人は3DCG制作に向いているのでは、という人はいますか。

  • K.S:

  • いま、背景制作をするときに、学生時代に授業で学んだ建築の知識が役に立っています。建築学科の人などは、もっと専門的に多くの建築様式の知識があるので、そうした知識もいかせるのではと思います。

  • Y.S:

  • 彫刻を専攻している人も向いているのではないでしょうか。ポリゴンという立体や空間を意識して制作していくことなどは彫刻に通ずる事も多いと思いますし、スカルプトツールなどは特になじみやすいのでは。

  • T.H:

  • アニメーションを勉強している人も、体の構造の理解や動かし方などの意識があると思いますので、そうしたこともいかせると思います。また、私も日本画というまったく3DCGとは異なる分野を専攻していましたし、3DCGも入社してはじめて経験したので、どういった分野を学んでいても、造形や空間の表現に興味があって、もの作りの基礎力を鍛えてきた方だったら、向いていると思います。

最後に、この先の目標を聞かせてください。

  • K.S:

  • 3DCGは、「必ずこの方法で作らなくてはいけない」というものではなくて、作り方の正解は無いのだと感じています。いまはまだ作り方の基本を身につけている段階なので、いろいろな手法を知って、応用力を身につけ、効率よく表現したいものを表現できるようになりたいと思っています。

  • T.H:

  • 昔から資料をたくさん見て、できるだけあからさまな嘘や破綻がないように物を作りたいと思っていました。いまは武器や甲冑など、これまであまり制作してこなかったものを制作しているので、資料をたくさん見て、できるだけリアルな存在感を持つものを作りたいです。

  • Y.S:

  • 少しずつ3Dで作りたいものを作れるようになってきましたが、これから要求されるレベルはもっと上がると思っているので、もっときちんと理論や概念を理解して、3DCGを作れるようになりたいと思っています。まだ基本的な知識も足りていないと感じているので、もっと知識を積み上げて、分析して、効率よく作れるようになるのが課題です。まずは少しでも早く、1エリア全体の背景制作を任されるようになりたいです。