
二ノ宮絵理華
2017年入社グラフィックシステムエンジンの開発(大気表現の拡張など)、グラフィックに関するツール・プラグインの開発・
運用(シェーダコンパイラの共通フロントエンドツール、光源を含むグラフィックに関する配置補助ツール)、
GPUパフォーマンスチューニング(高負荷となる機能の割り出し、その回避策や代替案の提案)を担当。
3Dグラフィックアーティストと協力して
よりユニークな絵作りへの挑戦
大学卒業後、ゲームとは関連の無い仕事に就きましたが、ゲーム開発に興味を持ち、専門学校に入り直しました。そこでUnreal Engineなどのゲームエンジンに触れ、自社エンジンでのゲーム開発を行っているフロム・ソフトウェアに興味を持ったことが入社に至るきっかけでした。入社後の研修では配属に関する希望の聞き取りが定期的にあり、グラフィックへの興味を伝えたところグラフィックシステムセクションに配属されました。
配属後はグラフィックエンジンの拡張から関連するゲームデータの配置補助ツールの開発・導入など幅広く携わりました。『ELDEN RING』では、おもにフォグの表現に関するシステムの構築を担当しました。開発当初は“シーンに対して一律な大気散乱を表現する機能”しかなかったのですが、3Dグラフィックアーティストから「任意の形状・場所に配置できるようにしたい」というリクエストがあり、“局所的なフォグの表現および、DCCツールでの配置機能”の実装を行いました。
配置したフォグが不自然に浮かないよう既存システムとの齟齬を埋めつつ、また要件を満たせるようパラメータや運用方法の詳細を詰めていきました。導入後は主にリムグレイブを対象に試用され、湖のリエーニエや魔術学院レアルカリアのような霧の表現が特徴的なフィールドやエリアが作られていきました。より繊細で柔軟な表現と、パフォーマンスを両立できるように何度も3Dグラフィックアーティストと調整を重ねました。


表現したいグラフィックを
実現できる環境を
その結果として、立体的でユニークなフォグを表現できるようになり、空間内の情報量の変化に幅をもたせることができるようになりました。このように、3Dグラフィックアーティストが思い描く絵作りができるようにシステムや環境を構築することがエンジニアの役割となります。
ただ実現可能な機能を用意して終わりではなく、既存のシステムを阻害していないか、カスタマイズ性に過不足はないか、パフォーマンスは……、など考慮すべきことはたくさんありますが、グラフィックという結果が目に見える業務ですし、3Dグラフィックアーティストが狙った通りのグラフィックができあがったときは大きな達成感があります。

自分の仕事が豊かな世界観を築き上げる

グラフィックシステム開発の仕事は、デザイナーや3Dグラフィックアーティストが表現したいことができるように環境を整え、実現したいと考えている世界に近づける、その助けになることです。グラフィックの変化は、自分の頑張りが目に見えて分かる部分なので、とてもやりがいがある仕事です。大気表現に関するエンジンを開発しているときは、天気が悪くなり霧や雲が出てくると、むしろ気分が向上するなんてこともありました。
業務に向き合ううえで、日頃からグラフィック技術への関心を持つことも必要ですが、足りない知識は先輩や他のメンバーが教えてくれますし、実現したいことに集中できる環境だなと感じています。