
澤山拓斗
2016年入社ゲームにおける各種システムの仕組みの整理、仕様の考案や、実装されたプログラムのチェックなどを担当
ゲームプランナーやディレクターのアイデアを
実現する仕組みを考える

学生時代は化学を専攻していました。もともとゲームは好きでしたが趣味でアナログゲームを作るくらいで、デジタルのゲーム作りに関する知識はありませんでした。しかし、フロム・ソフトウェアの会社説明会でシステムプランナーという、他社には無い変わった職種の説明を受け、化学を学ぶ時に好きだった「仮説を立てて起きた現象の理由を理屈で突き詰めること」を、ゲームの開発に当てはめられるような仕事だと思い、入社を決めました。
システムプランナーの業務は、ゲームプランナーやディレクターなどから出てくるアイデアを、どんな仕組みで実現するのが妥当かを論理的に整理して、効率的に開発ができるように仕様を考えることです。プログラマーにその仕様を実装してもらった後は、実装されたプログラムが必要な要件を満たしているかのチェックも行います。仕様を作る上では、要件さえ満たしていればOK、とするのではなく、ゲームプランナー的な視点とエンジニア的な視点の両面から、妥当な仕様は何なのかを探っていく必要があります。
必要な3つの視点
『ELDEN RING』の霊体召喚を例にしつつ説明します。
最初に、ゲームプランナーから「とあるシチュエーションを攻略するときの選択肢として、特定の場所で味方の霊体を呼べるようにしたい。アイテムとして実装したいので、アイテムを使ったら味方の霊体が出てくる機能が欲しい」という要望があったとします。
これを3つの視点から検討していきます。

1つ目は、エンジニア的な視点です。
新しく作る機能が既存の機能とバッティングしないか、不整合が起きてしまわないかなど、機能が齟齬をきたさないように確認をします。
霊体はプレイヤーが召喚する味方になるので、プレイヤーキャラクターに霊体の攻撃が当たらないようにする必要があります。
ですが、既存のシステムに「キャラクターの設定を敵扱いに上書きして、その攻撃がプレイヤーキャラクターに当たるようにする」という処理があった場合、これが意図せず霊体の設定を上書きしてしまうと困るため、霊体はその処理の対象外にできるような仕組みを、仕様に盛り込む必要があります。
2つ目は、企画的な視点です。
提示されたルールに穴が無いか、ゲームのコンセプトからズレが無いか、などをチェックしてゲームプランナーと検討を重ねます。
先ほど挙げた最初の要望のルールだけでは、霊体が消える条件の定義がないので、どこまでも霊体を連れていけてしまいます。そうならないように「召喚可能なエリアから離れたら、呼んだ霊体が消える」というルールが必要な旨をゲームプランナーに相談して、追加します。こういう具合に、要件部分の補強も行います。
3つ目は、運用的な視点です。
機能を作って実装しただけでは、作業終了とはなりません。霊体に関する一通りの機能を実装したら、今度はゲームプランナーが霊体を追加していきます。
50種類以上の霊体のデータを作ったりバランス調整を行うにあたって、効率よく作業できる環境になっているか、パラメータの作りや設定ツールにも気を配ります。
幅広い分野でゲームのルールを
形にしていく
『ELDEN RING』では、AIの基礎システムも担当しました。具体的に説明すると、エネミーキャラクターの視界にプレイヤーキャラクターが入ったとします。するとエネミーキャラクターが警戒状態になり索敵を始めます。このようにプレイヤーキャラクターの行動に対して、AIで動くキャラクターがどのような反応をするのか、そのAIの状態の優先順位やAIの行動内容のルールを作るのが基礎システムで、これがキャラクターの行動のベースを担っています。
他にも、過去作よりもマルチプレイのクオリティを上げるためにキャラクターの同期の仕組みを調整したり、キャラクターやマップ、オブジェクトのあたり判定を整備したり、ダメージ判定やダメージ計算の仕様を整備したりなど、いろいろな分野に関わっていました。
私は担当していませんでしたが、システムプランナーはメニューやネットワークサービスなども担当することもあり、かなり幅広い分野に携われる職種ですね。
このように、ゲームを構成するいろいろな仕組みに触れられる所もシステムプランナーの魅力ですし、個人的には、入社前に思い描いた「仮説を立てて起きた現象の理由を理屈で突き詰めること」ができるところも魅力の一つだと感じています。
ゲーム開発というジャンルで働きたいと考えていて、仕組みの理解・分析・応用が好きな人や、要件を理詰めするのが好きな人にとっては、これ以上ない職種だと思います。
