
エリック・カバジェロ
2019年入社(中途入社)低レイヤー関連のエンジニアリング(描画ライブラリと関連ツール、テクスチャーエンコード関連ツール、
プリレンダームービー再生ライブラリ、SFXライブラリなどの開発、最新技術の調査・検証など)を担当。
「自分たちが作りたいものを作る」
という強い言葉
フロム・ソフトウェアに入る前は、ベンチャー企業でバックエンドの開発やフロントエンドのアプリ制作など、ゲームとはあまり関係のない業務に就いていました。そこからフロム・ソフトウェアで働きたいと思ったのは、もともと『Another Century's Episode』が大好きで、『DARK SOULS』シリーズも楽しんでいたこともあるのですが、EU版の初代『DARK SOULS』に付いていたメイキングDVDが大きな理由になっています。その映像で中島 英一(現フロム・ソフトウェア取締役)が語っていた「自分たちが作りたいものを作る」という強い理念に共感して、フロム・ソフトウェアの中途採用に応募したことを覚えています。

R&Dとしての私の業務は、グラフィックエンジンで使われるライブラリやツールの開発がメインです。フロム・ソフトウェアはさまざまなプラットフォームに対応するゲームを作っていますが、それぞれのプラットフォームで提供されるライブラリやハードウェアは異なる部分があります。開発者がそれを気にしながら開発することは難しいので、R&Dがその差異を吸収して、気にせずに制作できるようなツールやライブラリを提供するのです。そのメンテナンスだけでなく、描画コアライブラリと関連ツールの開発、テクスチャーのエンコード、プリレンダームービー用のライブラリなど、グラフィックに特化した内容が多いですね。
開発者が制作に集中できる環境を
整えるために動く

フロム・ソフトウェアにはいままで築き上げてきた膨大なライブラリやツールがあるのですが、それらを最新のプラットフォームに対応することが重要な責務のひとつです。
レガシーをメンテナンスするだけではなく、新しいプラットフォーム用にゼロからライブラリやツールを作ることもあります。
R&Dの仕事は2~3年後を見据えた長期的な視点を持って動く必要があり、トライアンドエラーの積み重ねです。しかし、失敗してもフォローできる知見とスペシャリストがフロム・ソフトウェアには存在しますし、何より開発者がゲーム作りに集中できる環境が整ったときに、大きなやりがいを感じることができます。
私は『ELDEN RING』から本格的にR&Dとして参加したのですが、ちょうど次世代ハードとしてPlayStation 5とXbox Series X|Sが発売されたタイミングだったので、イチからアーキテクチャーなどを研究できたのは幸運でした。自分が担当した部分が次世代ハードでもしっかり機能していることを確認したときはうれしかったのですが、そこで止まることは許されません。最新技術の学習や研究環境の構築を進めることも必要です。UnityやUnreal Engineだけでなく、規模の小さいゲームエンジンも含めて、良いところを検証して活かせれば、自社のゲームエンジンもさらにブラッシュアップできます。そのほかにも、デバッグのメニュー作成や社内のチャット用ツールの開発など、R&Dとしての業務は多岐にわたります。これらがすべて社内の開発力を上げることにつながるのです。
情報を学習し、共有するための
コミュニケーションが大切

私の場合、特にグラフィックエンジンに関するセクションとのやり取りが多いですが、他にもゲームプランナーやプログラマーなどの担当者ともやり取りを重ねます。その際は、セクションという垣根を感じることがなくなるくらい密なコミュニケーションが求められます。相手の意図を理解し、解決に導く過程はとても重要なプロセスであり、私はスペインから来日して6年になるのですが、おかげで日本語がとてもスムーズに話せるようになりました(笑)。
また、つねにグラフィックの技術は進歩しているので、技術に対するアンテナはつねに立てています。より高いクオリティが実現できる情報があれば、セクションに関わらず情報を共有して調査を進める。ミドルウェアやネットワークに関するプログラムなど、共有すべき技術があれば、社内で勉強会などを開いて共有する。こういった積極的な情報交換とコミュニケーションの重要性は、ゲーム開発においても日々増していると思います。そういった環境を整えることもR&Dのマイルストーンのひとつです。10年後を見る必要はないかもしれませんが、2~3年後を見ていまある技術をいかに活かせるか、その発想力を持つことが大事ですね。